113冊目『ぼくのすきなやりかた』

 

ぼくのすきなやりかた

ぼくのすきなやりかた

 

「あのね、ぼくのすきなやりかたとしては たとえば こんなたべかたなんだけれど…」 

 

子どもと母親の“やりかた”を双方の視点から描いたおはなし。こちらは“ぼく”の好きなやりかた。

 

姉妹作の『わたしのすきなやりかた』と同時に読んだ。

“ぼく”は荒唐無稽で意地っぱり、大きな音が大好きで日常に遊びを求めるいわゆる普通の男の子というやつ。そんなぼくの日常生活のやり方を追っていく本。

「ぼくのすきなやりかた としては こんなぐあいの ミュージック なんだけれど…」

こんな具合、といわれても文章だけでは分からない。グラスやお鍋をドラムセットに見立てて、ガンガンガシャガシャ騒音を鳴らしているのだ。楽しそうにしているぼくの横では、“わたし”ことお母さんが耳をふさいでいる。ぼくの楽しいことは、時にお母さんにめっぽう怒られる。それはずばり、お母さんのやりかたとぼくのやり方が違うからだ。ぼくはぼくの思うがままに、色んなものをドミノのように並べて、それを手押し車でなぎ倒したりする。

「こういうひととき なんだけれど…」

ではおとなしく習字をしているが、その次のページでは「ちょっとむずかしいやりかたなんだけれど…」で洋式便器に頑張って立ちションをしようとする。そのときのぼくはこれでもかというほどニコニコしていて、このやり方が楽しくて仕方がない様子。おしっこで遊ぶのは男の常といってもいい。そんなぼくをつめたい目でみやるお母さんの姿。

 

「うん、ぼくのすきなやりかた としては たとえば こんなきぶん なんだけれど…ね。」

そして、そんなやり方をしつつも、ぼくとお母さんは同じソファーでひと時を過ごす。やり方が違っていても、一緒に生活出来るのが家族だ。ぼくの気持ちになって読むもよし、“わたし”の気持ちになって読むもよし。でも合わせて読むともっとよし。そんな絵本です。

 

「こういうパワーのあつめかた なんだけれど…」