78冊目『ギャシュリークラムのちびっ子たち』
- 作者: エドワードゴーリー,Edward Gorey,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
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「Aはエイミー かいだんおちた」
ゴーリーの代表作。アルファベット順に不幸な死を迎えるちびっ子たちのおはなし。
とにかくインパクトが強いので一読しただけでは何も感想が書けない。ページをめくる手が何度も止まる。また次のページでも新鮮で恐ろしい死が待っているからだ。
元の原文が韻を大事にしていると言うのもあって、日本語訳もたいへんなこだわりをみせている。
「Iはアイダ おぼれてふびん」
などは、原文では湖に落ちたよというところまでしか書かれていない物を「溺れる」という事象に「不憫」などと感想まで述べて、読んだうえでの気持ちよさを大事にしている。気持ちよすぎて気持ちが悪い。口になんてすればずっと舌に残る文章だ。
絵は死ぬ瞬間というより死の直前を表している。
「Kはケイト まさかりぐさり」
などはもう完全に刺さっている状態なのだが、他のページから推察するにこの段階でもケイトは生きているのだろう。そう考えると、虚ろな目をしたケイトが、読んでいるこちら側をじっと見ているような気がしてくるものだ。怖い。
その怖さはやはり“因果応報”とは程遠い、とにかく悲惨な最期にあるのだろう。悪さをしようがしまいが、世界の悪意はすべて子どもたちにふりかかってくる。子どもを通した、人間にとって一番大きな絶望だ。どうか物語のなかだけでありますように。
「Zはジラー ジンをふかざけ」