75冊目『すばらしい季節』
「目でみて 耳できいて においをかいで」
自然派絵本作家ターシャ・テューダーの、四季の全てを全身で楽しむ女の子のおはなし。
可愛い女の子はすぐに成長する。それは四季のうつろいとともに、すべてがすばらしい“過程”なのだと思う。
春は小さな猫を抱っこして夏は太った子犬と遊び、秋はすべすべしたどんぐりを集め冬はクリスマスツリーにそっと触り、その全てを心から楽しむ。それ以外の何もないけれど、それだけで大切な物語だ。
「これが サリーの 一年です
いつも 目と 耳と はなと 口と 手で
季節のよろこびを さがします
花のにおいをかぎ 小鳥のこえをきき
しずかに 夜空の星を みていたりするのは
どれもみんな サリーの だいすきなことです」
大好きなことをして毎日を送ること。それが“過程”を楽しむうえでもっとも重要だ。どうせ生活なんてものは最後に死ぬまでの“過程”に過ぎないのだから、今を全身で楽しむことを忘れてはいけない。当たり前のような、当たり前ではないことが描かれた絵本。そしてこれは特別なおはなしではない。
「あなたのまわりにも
こんなすばらしいことが たくさんあって
きっといつも あなたが 気がついてくれるのを
まっています」