29冊目『ちいさなあなたへ』

 

ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)

ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)

 

「あのひ、わたしはあなたのちいさなゆびをかぞえ、そのいっぽんいっぽんにキスをした。」

 

母から子に捧げる手紙のようなおはなし。

タマフル春の推薦図書にて名前が挙がっていたので読んでみた。原題の『someday』どおり、いつの日か気づくであろう、母の愛のこと。自分が生きているうえでずっと見守っている一人の女性のこと。

「いつかきっと、あなたもとびこむのだろう。ひんやりすきとおったみずうみのみずのなかへ。」「ほのぐらいもりのなかへ。」 「かなしみのなかへ。」

それでもいつかまた子が子を為し、母になる。過ぎていく人生の中で、とても大切な繰り返しの一つだ。現在親の人も、いつかは親になる人も、はたまた親にはならないけれど子であった人にも、寄り添える絵本。

本には2タイプあると思っていて、物語に乗る「ライド型」と、寄り添いながら在る「ライブ型」の二つだと思う。『ちいさなあなたへ』は後者。いつかもし万が一人の親になることがあれば、もう一度読んでみたいと思う。

関係ないかもしれないけれど読んでいて『たまこラブストーリー』のことをふと思い出した。あれも恋愛映画のようにみえるけど、親から子への手紙のような映画だ。