119冊目『10ぴきのいたずらねこ』
- 作者: メンシェ・ファンキューレン,ヤンユッテ,Mensje Van Keulen,Jan Jutte,野坂悦子
- 出版社/メーカー: 朔北社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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「いっぴき くしゅんと かぜをひいて のこるは……9ひき」
10匹並んだいたずらねこたちがだんだん姿を消していくおはなし。怖い話ではありません。
雨の表紙が気になったので読んだ。たいへん好みの内容でした。
「10ぴきの いたずらねこが あめのなかを あるいていたよ」
いたずら猫たちは、特にいたずらで誰に迷惑をかけるでもない。ただずっと並んで歩くことはできないようで、みな思い思いの行動をしてバラバラになっていく。
「9ひきの いたずらねこが ねずみを つかまえにいったよ
いっぴき しっぽに じゃれついて のこるは……8ぴき」
「7ひきの いたずらねこが ふえを ふいていたよ
いっぴき たいこが たたきたくなって のこるは……6ぴき」
太鼓ぐらい叩かせてやれよと思うけれど、太鼓を叩くことに無我夢中になって他の猫の事を忘れてしまういたずら猫を想像するとずいぶん愛しい。1ページごとにいっぴき猫が違う行動をとるのだけれど、その横には必ずそいつを心配そうに見つめる猫がいるのもかわいらしい。
仕方がない。そいつは太鼓を叩きたくて、叩きたくて、いてもたってもいられなくなったのだ。みんなと違う行動をとることがわかっていても太鼓を叩きたかった。そういうやつのことを、この本では“いたずらねこ”と称す。
消える理由で一番いいのは3匹目の猫だ。
「3びきの いたずらねこが うみに もぐったよ
いっぴき アメリカめざして およいでいった のこるは……2ひき」
アメリカすげえもんな。分かる。でけえし。
他二人が頭をタオルで拭いている中、そいつは都会の灯りを目指して泳いでいった。いたずらなんかじゃないよ、アメリカンドリームをつかんできてくれ。ただ、残った二匹は二人してとても寂しそうなのが印象的なページ。
見開き左のページには数をカウントする猫が必ずいてそのデザインも素敵。そしてラストには、消えていった仲間たちが、雨の降るなか再登場。
「あのね このねこ いま ウィンクしたよ どうしてだろう?
だって いっぴきで 9ひきぶん いきている いたずらねこだから
ほら その いたずらねこが また あめのなかを あるいていくよ
いたずらなかまに よびかける 9ひき そろって さあ でておいで」
仲間が集まればそれだけで幸福だ。その証拠にその街の看板には、でかでかと“SUNNY”という文字が書かれている。
面白かったし、隅々まで凝ったイラストは何時間見ていても飽きない。子どもに数を教える本としても使えるだろう。つい、最後まで残っていた猫は始めどんな顔をしていたのか気になって何度も読んでしまった。良作です。
「いたずらねこを ぜんぶ もういっかい みたい?
じゃあ また さいしょから いくよ なんびき いるかな……」