88冊目『まってる。』

 

まってる。

まってる。

  • 作者: デヴィッドカリ,セルジュブロック,Davide Cali,Serge Bloch,小山 薫堂
  • 出版社/メーカー: 千倉書房
  • 発売日: 2006/11/17
  • メディア: 大型本
  • 購入: 7人 クリック: 59回
  • この商品を含むブログ (32件) を見る
 

「おやすみのキスをまってる。」

 

赤い紐が繋がるその先を待つおはなし。夏と森で待ってる。

 

この形状の絵本は初めて読んだ。でもこの形でないとこの本はダメだ。

赤くのびる紐はページの先へ先へ繋がっていて、たまに途切れたり端だけ残っていたり。こじれてしまった関係はぐしゃぐしゃの紐で表現し、点滴のチューブやへその緒はまっすぐ体に繋がっている。現実において紐は紐でしかないが、その先には希望が繋がっているのだ。

 

「映画のはじまりをまってる。」

「戦争がおわるのをまってる。」

「『さようなら。ありがとう』っていわなきゃいけない日を…」

 

希望に繋がる紐は、待ってるあいだに切れてしまう。愛しいものの死。 全てのつながりが絶たれる瞬間。それでも。

「また春がくるのをまってる。」

「誰かのノックをまってる。」

 

途切れても尚希望を待つ。いつか再び結びなおされる日を待ってる。決して、その時間は無駄ではないと、心から思う。夏も森も待った俺にもう苦手な待ち時間などないわ。

 

「あたらしい家族をまってる。」