88冊目『まってる。』
- 作者: デヴィッドカリ,セルジュブロック,Davide Cali,Serge Bloch,小山 薫堂
- 出版社/メーカー: 千倉書房
- 発売日: 2006/11/17
- メディア: 大型本
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「おやすみのキスをまってる。」
赤い紐が繋がるその先を待つおはなし。夏と森で待ってる。
この形状の絵本は初めて読んだ。でもこの形でないとこの本はダメだ。
赤くのびる紐はページの先へ先へ繋がっていて、たまに途切れたり端だけ残っていたり。こじれてしまった関係はぐしゃぐしゃの紐で表現し、点滴のチューブやへその緒はまっすぐ体に繋がっている。現実において紐は紐でしかないが、その先には希望が繋がっているのだ。
「映画のはじまりをまってる。」
「戦争がおわるのをまってる。」
「『さようなら。ありがとう』っていわなきゃいけない日を…」
希望に繋がる紐は、待ってるあいだに切れてしまう。愛しいものの死。 全てのつながりが絶たれる瞬間。それでも。
「また春がくるのをまってる。」
「誰かのノックをまってる。」
途切れても尚希望を待つ。いつか再び結びなおされる日を待ってる。決して、その時間は無駄ではないと、心から思う。夏も森も待った俺にもう苦手な待ち時間などないわ。
「あたらしい家族をまってる。」