33冊目『ロンパーちゃんとふうせんくん』

 

ロンパーちゃんとふうせん

ロンパーちゃんとふうせん

 

「だから ふうせんは ちゃんと ロンパーちゃんの おうちに これました」

 

街でもらったふうせんと友だちになるロンパーちゃんのおはなし。

近代絵本によくある丸く区切られたページで、黄色いふうせんとロンパーちゃんが遊ぶのだけれど、そのふうせんのまるで生きているみたいに動いている。あっち行ったり、こっち行ったりしながらも、錘をつけられたふうせんくんはロンパーちゃんの目線のすぐそばにある。まるで本当の友だちみたい。はなのかんむりのページはその対比が美しすぎて泣くかと思った。

酒井駒子さん、まだ何冊かしか読んでないけど女の子をすごく美人に描く人だなあ。そのせいで(そのおかげで)、ふうせんとキスをするシーンはただの可愛さだけではない色っぽさがありました。

「それから いっしょにハミガキもして パジャマきて

 いっしょに ふとんで ねる やくそく したのに」

 

黄色いふうせんは友だちになったり家族になったりしたけど、友だちや家族みたいにふいに何処かへ飛んでいってしまう。ラスト、再会で終わらずに夜のところで終わるのが本当に美しいと思った。子どもの美しい願いは黄色い風船を美しいある物体に変える。これまたとても好き。

「そうしてポツリと こうおもったの (ああ ふうせん ロンパーちゃんのふうせんはーー)」