20冊目『ケイゾウさんは四月がきらいです。』

 

ケイゾウさんは四月がきらいです。 (福音館創作童話シリーズ)

ケイゾウさんは四月がきらいです。 (福音館創作童話シリーズ)

 

「ああ、だから四月はきらいなんだ。ちぇ、この扉さえあけばなあ」

 

幼稚園に住むちょっと偏屈な鶏のケイゾウさんの1年間のおはなし。

感想からいうと、仕方ないとはいえ子どもに言いようにされ、さらに保育士のもも子先生からもそんなに好かれている感じのしないケイゾウさんを見ているのが不憫でならなかった。一緒に住むうさぎのみみこも、だんだん仲良くなっているとはいえずっと喧嘩をしているし、なんだか高校生みたいな喋り方のケイゾウさんはラノベの主人公のようにも思えた。

でも後半になり、1年間の終わりがくると、ケイゾウさんのいる幼稚園にも卒業の時期がせまってくる。ケイゾウさんは4月が嫌いだけれど、3月はもっと嫌い。

「もも子先生は卒園しません。ケイゾウさんも卒園しません。毎年毎年、お見送りです。ケイゾウさんは3月がきらいです。」

わがままなこどもに振り回される1年間だけれど、そこを心底憎んでいるわけでもない。ケイゾウさんも立派な先生だった。そしてこれからはみみこも。

 

終盤になり別れの匂いを感じ始めてようやく読んでよかったと思ったけれど、126ページはいささかボリュームがあったな。絵本というより童話だった。