12冊目『あさになったのでまどをあけますよ』

 

あさになったのでまどをあけますよ

あさになったのでまどをあけますよ

 

「やまはやっぱりそこにいて きはやっぱりここにいる だから ぼくはここがすき」

 

ゴーリーの絶望とはうってかわって、自分たちの朝を愛する希望のおはなし。

さわやかな朝だ、とてもすがすがしいよ、とはならない自分の人生を振り返ってみる。長く寒い夜が続き、いつまでも終わらないのではないか、自分は一生この夜に閉じ込められるのではないかという不安。でも朝になったので、窓を開けるとそこには、山があり、海があり、雨があり、街がある。だからぼくはここが好き。といえる希望。窓を開けるようにページをめくると自分の家から見える景色のなんと美しいことか。 美しい本だ。

絵本が他のどの本よりも優れているところはそのページをめくる瞬間にあるのではないかと思う。その喜びを、1冊に閉じ込めた見事な作品。希望も絶望も絵本で知ることが出来るのかもしれない。

それでは、「あさになったのでまどをあけますよ」。