122冊目『はっけよいごりまる』

 

はっけよいごりまる

はっけよいごりまる

 

「よこづなめざしてきたえるぞー」

 

子ゴリラごりまるが横綱を目指して日々特訓するおはなし。黄色の回しが可愛い。

 

絵も文章も軽く読める感じで楽しかった。お気に入りは『かたすかし』のお話。

塾かサッカーにいく途中っぽいサイくんを捕まえて、相撲の特訓にはげむごりまるくん。サイくんはだいぶ嫌そうにするも、しぶしぶ土俵に立つ。見合って見合って、はっけよーい……といったところで、サイくんが土俵から降り、通りすがりのお母さんのところへ走っていってしまう。サイくんのお母さんは持っていたドーナツをごりまるくんにもくれた。ごりまるくんはのこったのこったの代わりに、

「もらったもらった」

と笑顔でドーナツを受け取る。

「かえった」

そして残されたのはごりまるくん一人。

「のこった」

寂しそうにドーナツをほおばるごりまるくんがかわいそうでみてられない。基本的にごりまるくんは、相撲のこととなると突っ走ってしまう癖があるようで、他にも「よりきり」ではどうしても勝てないくまくんにしつこく強くなる秘訣をきいたり(その上苦手な食べ物を食べる、ということは絶対にしたくない)、「いさみあし」ではよかれと思ってした親切が仇となっている。

 

でもごりまるくんは、まだ横綱を夢見る子どもだ。失敗もするし、まだまだよわっちい。だから日々特訓をつむ。いつか横綱になれるよう。

最後の話である「ゆめはよこづな」では、お父さんにだけ相撲に負けたことを報告する。

「けいこすればつぎはかてるさ」

頑張れごりまるくん。よく寝てよく食べろ。ひねくれたことばかりいうな。

 

「ぼく、ゆめのなかでもけいこするよ!」