111冊目『ゆきがふるよ ねこがいるよ』
「みんな ねてるよ」
雪の降る夜、猫が街を散歩するおはなし。フォント好き必読。
雪の降る夜の街に猫が一匹。走ったり滑ったり転んだりしている。喧嘩して引き分けになったり、余りの寒さに動けなくなったり。それでも走って雪を堪能している。
街の誰もが眠っているとき、猫は大冒険を繰り広げる。その冒険を、美しく、シンプルに描ききった本。
文章が手描きなのだけれど、その文章が絵にあわせて色や形を変えるのがとても面白い。雪で猫が覆い隠されたときは文字も雪で覆われ、喧嘩して傷だらけになったときは文字も傷だらけになる。さらに後半では猫の瞳と口を文字のなかの色合いで表現している。これはもう問答無用で楽しい。
「かいじゅうのまねしたよ」
全てが語りかけるような「よ」で終わるのもいいなあ。誰かが見て、誰かが表現した楽しい猫の姿。野良は寒々しいけれど、それなりに楽しくやってそう。
全編雪で覆われているのに、とても温かい気持ちになれるお話。おすすめです。
「ゆきがふるよ」