102冊目『バルバルさん』
「まちのはずれに あおい やねの ちいさな みせが あります。バルバルさんの とこやです。」
床屋を営むバルバルさんのもとに、たくさんの動物が訪れるおはなし。おれ、かみのけがないんですけど。
朝、店をOPENさせると一人目のお客さんがライオン。バルバルさんはとてもびっくりしてしまう。普段は人間相手の床屋という商売で、喋る動物に出くわすのはまあない。
喋る?動物が?ということに関しては、そりゃああなた絵本の一つでも読んでたら喋る動物くらい出てくるでしょうと思うけれど、やはり床屋にくるのは異常事態。バルバルさんは驚きつつも、丁寧なカットで最高の仕事を見せる。
これにはライオンも大満足。バルバルさんも一安心する。
続いてのお客さんはワニ。
「きょうは いかがいたしましょう」
「おれ、かみのけが ないんですけど けを はやす いい ほうほうは ないですか」
ワニは真面目な顔でバルバルさんに告げた。ここで「じゃあ床屋にくるんじゃないよ」と追い返さないプロのバルバルさん。どこかからたくさんのヅラを持ってきて、ワニを満足させる。でもワニさん。あんまり似合ってねえっす。
そうしてたくさんの動物のお客さんを満足させ、バルバルさんの1日は終わる。非日常に際して初めは驚きつつも、徐々にプロの仕事を見せるバルバルさんがとても面白かった。バルバルさんは「barbar」のバルバルさんかな。
最後には非日常の理由も分かるのだけど、それへの回答もバルバルさんらしい。
「これは このままにしておこう。このらくがきのおかげで きょうは なかなか たのしかった。」
愉快なうえにあたたかい気持ちになれるお話。
「バルバルさんの みせには きょうも いろんな おきゃくさんが やってきます。」