96冊目『ポメロはたんぽぽのしたがすき』
- 作者: ラマウナバデスキュー,ベンジャマンショ,Ramona B´adescu,Benjamin Chaud,野坂悦子,いぶきけい
- 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
- 発売日: 2004/06
- メディア: 単行本
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「タンポポの したに いるのが、ポメロだよ。ポメロは タンポポの したが すき。」
鼻が長くてとても小さいゾウ、ポメロの長い鼻と怖いものと楽しい日のおはなし。
時間がないのでさっと書く。ポメロの長い鼻はとても便利だけれど、時々無性に面倒くさい。どうにかしなくちゃ、とポメロのとる行動がとても愉快。
「くびかざりみたいにまく?」
「カメレオンみたいに丸める?」
しかしなんだかんだ鼻の長さを利用してもいるポメロ。鼻の先にライトをつけて、
「タンポポの したで ほんだって よめるんだ。ねむくなるまでね……」。
ポメロがタンポポの下が好きなのは、周りのものが怖くてたまらないから。
「あめもこわい。あめが ふると いろが きえて なくなっちゃうから。」
ポメロはこわいものから隠れるようにいつもタンポポの下にいる。もし出かけたときに、
「だれかが、タンポポの したに ひっこして きたら どうしよう。」
なんてことも心配になるので、一切外も出歩けない。ポメロの気持ちが少し分かる。
絵本や児童向けに描かれたもので表現される“こわいもの”がとても好きだ。その“こわい”は、人間の不安の根幹にあると思う。ポメロはこのあとこんなものもこわいという。
「にわ、って、どこかで おわっているの?
だったら にわの むこうがわって、どうなっちゃってるわけ?」
「みんなの はなしが、ちんぷんかんぷんに なったら、カタツムリの ジジの いう ことも わからなくなったら こわいよー。」
知らないもの、分からないものはとにかくこわい。こわいから、いつも守ってくれるタンポポのそばにいようとする。でもそのタンポポもどこかへいってしまったら?ポメロの不安が尽きないように、人から怖いものがなくなることはきっとないのだと思う。
「それに きみが ページを めくったとたん、からだが ぺっちゃんこに なってるかも……」
こんなことも心配するポメロはとても可愛い。
ポメロはタンポポのしたがすき。ほんとうにすき。でも楽しい日はそこを離れて色んなところへ遊びにいく。
「たのしい ひは、なにを しても たのしい。」
笑って考えさせられて、しかもキュートな本。結構お気に入り。
「でも、ポメロはね、ひとりで いるのも だいすき。
おきにいりの タンポポの したで。」