96冊目『ポメロはたんぽぽのしたがすき』

 

ポメロはタンポポのしたがすき (にいるぶっくす)

ポメロはタンポポのしたがすき (にいるぶっくす)

 

タンポポの したに いるのが、ポメロだよ。ポメロは タンポポの したが すき。」 

 

鼻が長くてとても小さいゾウ、ポメロの長い鼻と怖いものと楽しい日のおはなし。

時間がないのでさっと書く。ポメロの長い鼻はとても便利だけれど、時々無性に面倒くさい。どうにかしなくちゃ、とポメロのとる行動がとても愉快。

「くびかざりみたいにまく?」

「カメレオンみたいに丸める?」

しかしなんだかんだ鼻の長さを利用してもいるポメロ。鼻の先にライトをつけて、

タンポポの したで ほんだって よめるんだ。ねむくなるまでね……」。

 

ポメロがタンポポの下が好きなのは、周りのものが怖くてたまらないから。

「あめもこわい。あめが ふると いろが きえて なくなっちゃうから。」

ポメロはこわいものから隠れるようにいつもタンポポの下にいる。もし出かけたときに、

「だれかが、タンポポの したに ひっこして きたら どうしよう。」

なんてことも心配になるので、一切外も出歩けない。ポメロの気持ちが少し分かる。

 

絵本や児童向けに描かれたもので表現される“こわいもの”がとても好きだ。その“こわい”は、人間の不安の根幹にあると思う。ポメロはこのあとこんなものもこわいという。

「にわ、って、どこかで おわっているの?

 だったら にわの むこうがわって、どうなっちゃってるわけ?」

「みんなの はなしが、ちんぷんかんぷんに なったら、カタツムリの ジジの いう ことも わからなくなったら こわいよー。」

 

知らないもの、分からないものはとにかくこわい。こわいから、いつも守ってくれるタンポポのそばにいようとする。でもそのタンポポもどこかへいってしまったら?ポメロの不安が尽きないように、人から怖いものがなくなることはきっとないのだと思う。

「それに きみが ページを めくったとたん、からだが ぺっちゃんこに なってるかも……」

こんなことも心配するポメロはとても可愛い。

 

ポメロはタンポポのしたがすき。ほんとうにすき。でも楽しい日はそこを離れて色んなところへ遊びにいく。

「たのしい ひは、なにを しても たのしい。」

笑って考えさせられて、しかもキュートな本。結構お気に入り。

 

「でも、ポメロはね、ひとりで いるのも だいすき。

 おきにいりの タンポポの したで。」