92冊目『おやすみのあお』
「おやすみのあお まどのむこうの ささやくこえ」
出会った全てのもの、まだ出会っていないものにも等しくおやすみを告げるおはなし。
「おやすみのあお トンネルぬけて
きょう きみが みつけた みち」
青は深い色を携えて今日もそこにある。夜のように、朝のように。時にそれは家で、夜露にぬれて光る花で、風を待つ湖にも見える。青いものがきらきらしているのは何故だろう。この本では、“待っているから”だと教えてくれる。
「おやすみのあお どこかとおくの
まだ あったことのない ひとや まち
まだ きいたことのない うた」
まだ出会ってはいないが、世界に存在しているきらきらしたもの。青は“予感”であり、“未知”なのだと思う。その全てに今は「おはよう」ではなく「おやすみ」という。いつか出会える日のことを待ちながら。
シンプルだけれども胸に響く1冊。遠くの風景のような絵に、小さく描かれる命の存在もとてもいい。鳥、人、狐。青に包まれたそのなかには、きっとまだ“知らない”が隠されている。知らないことを楽しみつつ、今日のところはおやすみ。
「きょうも あしたも あさっても おやすみ」