81冊目『もくようびはどこへいくの?』

 

もくようびはどこへいくの? (主婦の友はじめてブック)

もくようびはどこへいくの? (主婦の友はじめてブック)

 

「よるのあいだに なにが おきているんだろう。ぼくの おたんじょうびは どこへ いっちゃうんだろう。」

 

木曜日にさよならをいいたくて、木曜日の姿を探しにいくおはなし。木曜日は楽しい特別な日。

 

スプーの木曜日は誕生日で楽しいことだらけ。余りに楽しすぎて、木曜日がいなくなってしまうことに納得がいかない。

 「ぼく、もくようびが いっちゃう まえに、さよならって、いいたいな。」

スプーはともだちのハンブーと連れ立ち、木曜日にあいにいくことにした。

 

川の下から声がしたので、「もくようびくん、きみなの?ぼくたち、さよならを いいに きたんだよ。」と声をかけるも返事はない。同じようにふくろうにも、魚にも、列車にも、波にも問いかけてみるものの、やはり返事はない。星は常にチカチカと瞬いている。

 

途方に暮れ帰宅しようとする2人は、木曜日は一体どんな形をしているのか語り合う。

「それはね、おおきくて まんまるなんだ。ボクの おたんじょうケーキみたいにね。でね、ろうそくみたいに あかるいの。

でね、ふうせんみたいに ぼくを たのしくしてくれるの。ぼく、もくようびって、そういうの、みーんな たしたものだとおもう。」

 

その後2人は木曜日にようやく会うことが出来る。実体の無い物を探そうとして“これ”に行き当たるお話はたくさんあるけれど、そのなかでも屈指の美しさ。そういえばずっと木曜日は、スプーの近くでスプーを楽しませ続けてきたのだ。

 

“これ”にその日一日の楽しかった思い出を全部詰め込んで、スプーは叫ぶ。

「さよなら もくようびくん!さよなら!」

また明日もきっといい日になる。木曜日にさよなら。

 

「おひさまが きんようびを つれてきてくれるまで……。」