72冊目『ぼくはぼくのえをかくよ』

 

ぼくはぼくのえをかくよ (学研おはなし絵本)
 

「うかぶもの かいた。はしるもの かいた。とぶもの かいた。」

 

僕自身の書いた絵が、僕の世界を冒険するおはなし。嵐の日は休もう。

 

荒井良二さんがご自身で話も書かれるものは全て優しい本だ。本に辿り着くまでは苦しいことがあっても、絵本を開くと優しい世界が読者を待っている。本作も、人の想像力に優しく寄り添う作品。

「ぼくが かいた ふね すすむ。ぼくが かいた えのなかを すすむ。」

想像力で作り上げた船や汽車、気球は想像の世界をぐんぐん進む。しかし眼前には暗雲立ち込める。そして遂に大嵐。

「おおあらし!おおあらしの時には… こんなふうにやすむんだよ!」

嵐のなかで白く囲った想像の家でそれぞれが休む絵。想像の世界は自由だけれど、自由だからいつでも明るい、というわけではない。時に嵐がきて心も荒れる。そんなときには立ち止まり、休むことを教える。それが荒井さんの本が優しい理由だ。 

 

「ぼくは ぼくの えを かくよ。ずっと ずうっとね!」