66冊目『はじめは「好き」って気持ちから』
「あなたを好きになってから、わたしの心に小さな花が咲いたみたい。」
誰かを好きの気持ちから、自分のことも好きになれるおはなし。
まあ案の定いけ好かない感じではあったものの、好きなところも結構あったのでメモだけ。
喫茶店で働く主人公がそこの常連のイケメンのことを好きになって、イケメンとなんとかお近づきになろうと努力したり心を入れ替えてみたりする。しかし途中、女と店に来ている彼を目撃してしまった主人公が一言。
「わたしって、バカみたい。」
「悲しいくらいわたしには、たくさんひとりの時間がある。」
それまで一人の時間も、彼を思うと楽しいといっていた主人公が、その喜びもないとき、一人の時間をもてあますようになる。この感覚はとても素晴らしいし、人のことを好きになればなるほど、ひとりの時間との付き合い方は変わってくるものだ。
「あのとき『好き』を見つけていなければ、今のわたしはいないのかもしれない。そう思うと、自分の毎日がすごく大切に思えてくるよ。」
それを踏まえたうえで、なーんかいけすかないのは、例えばイケメンが本を読んでいるときに主人公が言う、
「その本、おもしろいんですかー」
だったり、
「『のに』ばっかりじゃ、かわいい女の子になれないもんね。」
だったり、ワードから漂う自己中心的思考からと思う。まあ、これはこれで面白い。
ファミコンやってディスコに行って知らない女の子とレンタルのビデオ見たりする青春が欲しかったなあ。
「あなたのおかげで、自分のことも『好き』になれたよ。」