56冊目『ぼくがおっぱいをきらいなわけ』
「しぬかもしれない。おっぱいは、きけんだ」
弟が生まれ、おっぱいを嫌うようになった男の子のおはなし。しぬかもしれない。
とてもスキです。「おっぱいをのむなんて、あかんぼうのすることだ。」と弟への嫉妬心からおっぱいを嫌う(母性ごと)ようになった男の子の話から、ぼくがおっぱいをどう見てるかまで丁寧に描かれている。めちゃくちゃすきなのは上にも書いた、「おっぱいのしたじきは、くるしい。しぬかもしれない。」
のさらっとした言い回し。抱きしめられるとおっぱいを見上げることになる男の子の視点イラストも素晴らしい。
「おっぱいのせいでなんだかめんどくさそうだ。」とどの立場から言っているのか分からない発言も、子どもの発言っぽくて面白い。牛と父親のおっぱいを並べて比べるのも、お父さんにはかわいそうだけど男の子って感じだ。
「でもそうやってられるのもおとうとかいもうとがうまれるまでさ……。」と悟っていた男の子は、突然の怪我にどうしたらいいかわからなくなる。どうしたらいいか分からないとき、甘えていいという“答え”をくれる人のことを母と呼ぶのだと思う。抱きつきに言った男の子に、「おでこのいたいのとんでいけ。それからぎゅうっとだっこっこ。」としてくれるお母さん。
「おっぱいは、やわらかくて あったかくて いいにおい。だから せっかく がまんしてたのに…」
愛とおっぱいにあふれた絵本。願わくば世のおっぱいが全部こんなおっぱいだったらいい。
「だから ぼくは、おっぱいが きらいなんだ。」