54冊目『わかったさんのアップルパイ』
わかったさんのアップルパイ (わかったさんのおかしシリーズ)
- 作者: 寺村輝夫,永井郁子
- 出版社/メーカー: あかね書房
- 発売日: 1988/11
- メディア: 単行本
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「わかったさんは、クリーニングやさんです。小さなワゴンで、せんたくもののはいたつにでかけます。」
わかったさんと呼ばれる女性が突然異世界に迷い込み、そこでアップルパイを作って結婚するおはなし。え?
児童文学だなあ。展開しているお話が余りに突飛でしかも前後のつながりがないものだから、途中で何度も振り落とされそうになる。けれどこのシリーズ通じてそこをなんとかとどまらせているのが料理で、今作の場合はアップルパイだ。
自分はグルメ漫画を愛していて、特に作中でちゃんとレシピが公開される系の料理漫画を愛しているので、ご多聞に漏れずレシピのところや作る過程を歌で表現しているところは楽しい。逆に人間でいいところを動物にして誤魔化すのは、何かしらの強烈な理由がないとずっと引っかかってしまうので、今作でもそれが最後まで引っかかってしまい100%楽しめはしなかった。楽しいんですけど、かみなりさまとリスが同時に存在している異世界ってなんなんですか、とか。
あとラストがただのホラー。なんの意図があってあんなラストにしたんだろう。アップルパイのパイ生地が多重構造だから物語もパイのように、ってことなのか。じゃあもうこの際だからそう言って!怖い怖い。
「『いい本だね。アップルパイの作り方までわかってしまう。』
わかったさんは、『ありがとう。わたしの本、ね。』」