53冊目『ぼくのおねえちゃんはビリだぞ』

 

ぼくのおねえちゃんはビリだぞ

ぼくのおねえちゃんはビリだぞ

 

「べんきょうだってできるけど かけっこがダメだ。」

 

お姉ちゃんがかけっこでビリにならないよう、応援する弟のお話。流行のビリギャル。

 

「ぼくのおねえちゃんはうたはじょうずだし えもうまい」自慢の姉だけれどかけっこが苦手。ということで今年の運動会ではビリにならないよう、家族総出で特訓をする。

語り口がとてもやわらかくていい。文章と台詞が分けられていて、ときどき漫画のような注釈が入ることもあり読みやすく、登場人物の表情が生き生きとしている。「あしたのことをかんがえてたらねむれなくなっちゃったの」といいにくるおねえちゃんはとても可愛い。 可愛い。最後ぼそっと「ほんとはビリだけどね」という弟がまた憎可愛い。キュートさを持ちながらも、テーマが1冊ぶれずに最後までわかりやすい、学校の図書館にあったら素晴らしいなという1冊。

 

自分は姉のいる家庭に生まれて、18歳まで姉とも暮らしていたはずなんだけれど、姉との思い出がほぼ皆無でして。こういった「近しい関係の人を尊敬する」ということへの共感レベルが薄いのかもしれない、と思いつつ、弟がもしこんな風に自分のことを応援してくれたらうれしいと思うので、要はどこに自分を据えて読むかということなのかもしれない。もちろん自分の存在など考えずに読むことも正しいしふさわしいのだけれど。ご褒美にジュースとクッキーをいただきたくなったけれど家にないのでおとなしく水道水でも飲んでます。

 

「おねえちゃん、ビリじゃないよ、いっとうしょうだよ」