52冊目『ぼちぼちいこか』

 

ぼちぼちいこか

ぼちぼちいこか

 

「ふなのりは、どうやろうか。どうもこうもあらへん。」

 

カバが自分のなれるものを探すおはなし。なんで関西弁やねん。

 

絵本はだいたいページをめくると次の展開になるものだけど、この本は見開き左で振って、右でもう答えを出しているので、とても展開が早いようにみえる。やってることはカバが自分の職業を模索するも、そのほとんどが体重制限で不可能というだけの話なのだけれど。

展開が速いので読むほうもスムーズに読める。けども、何かを諦める、ということが、こうも簡単に行けるのは少しうらやましい。『げんしけん』という漫画にでてくる久我山という男がいる。彼は学生時代少しだけ漫画を描いていて、社会人になってその道を諦めた。その夢を追いつづけることも、夢を諦めることも同じくらい体力も気力もいる決断だ。どちらが良い悪いではないし、結果人生が台無しになっても男の選んだこと、誰かを責めたりも出来ない。そんな現実の中で選んだりまたは選ばなかったりするげんしけんという漫画が好きだ。

カバは色々悩んだ末に、少し休んでからまた考えることにする。ぼちぼちいこか、とは、選ばないことを選んだカバの決断の言葉。気持ちがすっとする良い絵本。なんでチューバが息でまっすぐになんねん。あととびこみの選手はやる前から分かるやろ。分からんもんか。せやな。

 

「ま、ぼちぼちいこかーーということや。」