47冊目『5月のあかちゃん』

 

5月のあかちゃん (リブロの絵本)

5月のあかちゃん (リブロの絵本)

 

「ーーだって わたし なんだか うきうきしすぎちゃうんですもの」

 

ある夫婦に突然、幸せが訪れるおはなし。連作物。

5月も終わる前に読んでみた。5月という月が、「さわやかな風」や「思わず浮き上がりたくなる大空」に表現されているのが読んでいて気持ち良い。そしてそこに生まれる夫婦の幸せ、赤ちゃん。ふんわりしたものが破裂して、その瞬間のことを「どきどき」「うきうき」とあらわすのも、全ては5月の爽やかな晴れの日のおかげ。

「5月」「赤ちゃん」「五月晴れ」の三題噺の ような絵本だった。おそらくこのシリーズが全てこんな感じで表現されているのだと思うので、一月に一冊のペースで読んでいくのもいいかもしれない。

お気に入りは夫が「ぼくは 先生があまりよく事情をのみこんでいるので すこし むっとしましたが」のところ。

「戻ってゆく妻を追いかけながら こちらも だんだん うきうき わくわく してくる気がしました」と続くここは、ないかもしれないけれど、自分がもし結婚してそんな瞬間に立ち会えたとしたらそうなるんじゃないかと思えた。他人の幸せでは、もうないのだ。どきどきわくわくを共有したその瞬間、2人は家族になったのだな。

 

「ーーまた そろそろ ふんわり しそうだね とぼくは言いました 妻はやっぱり 聞いていないようです」