43冊目『ねえ、ほんとにたすけてくれる?』
「なんで?とうちゃん、たすけてくれるでしょ?」
親子の釣りの会話から、おとうさんがぼく(息子)をどこまで助けてくれるかを問うおはなし。そんなに重いトーンではありません。
海に落ちそうになった息子をみて「おっこちたってしらないぞ」という父親に息子が「なんで?とうちゃん、たすけてくれるでしょ?」というのだけど、その全幅の信頼がいい。どんな状況になったって、お父さんが助けてくれる。「そりゃあたすけるけど……」というお父さんに次から次へと危機的状況を提示して「こんなときでも助けてくれる?」、「そりゃあたすけるけど……」となんだかラブラブカップルみたいな会話劇。でもそりゃあ助けるよ。
そして「すっごいじしんがきて、つなみがきて、かざんがばくはつして、たいふうもきて、もうぐっちゃぐちゃになってもさ。とうちゃん!ねえ、ほんとにたすけてくれる?」というずいぶん大きくでた息子に、おとうさんが一言「もちろん」。
「もちろん。でもそのまえにー」
「そのまえに?」
「じぶんがたすかったら こんどは ほかのひと、たすけないとな」
全編このほほえましい会話で展開されるので派手さはないけれど、大切なものが詰まっている1冊。最後の夫婦喧嘩の話も、著者がおそらく夫婦(文が夫、絵が妻)の作品らしい結末ですがすがしい。お2人に息子はいるのだろうか。いたとしたら、こんなに愛のこもったプレゼントもそうそうないな。
「もしも とうちゃんが あぶないときはさあ、ぼくが とうちゃん たすけるからね」
「ほんとか?」「うん」