35冊目『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』

 

「でも、それが さいごでした。まるで ねむっているようですが もう いきは していません。」

 

 うさこちゃんの大好きなおばあちゃんが亡くなってしまうおはなし。CERO4歳。

 

普段のうさこちゃんの感じからはショッキングな1冊だけれど、うさこちゃんを人間として捉える本作では全く考えられないことでもなかった、家族の死。静かに淡々と、でも大切な言葉と涙で別れを迎える。

うさこちゃんは おじいちゃんが なくのを はじめて みました。」

うさこちゃんは終始、“死”が分からないことではない。なぜかというと、周りの大人たち、おじいちゃん、ふわふわさん、皆が悲しんでいる顔を見て、まだ子どものうさこちゃんも死を理解したからだ。そしてそのなかにも、

「ひつぎの うらがわは やわらかで とても きもちよさそうでした。」

など、初めて見たものをうさこちゃん目線で切り取っている。だから誰もうさこちゃんに死というものを教えていないかもしれない。もう帰ってこないんだよ、とは伝えていないかもしれない。しかしおじいちゃんの顔、涙ですべて理解できるのだ。子どもとは、そういうものだと思う。教えなくたって勝手に学ぶし、もし何かを教えたいのであれば表情や行動で伝える。

 

とても好きなページがある。

「おとうさんが そこで

 みじかい おわかれの ことばを のべました。

 おばあちゃん ありがとう

 わたしたち みんなに よくしてくださって。

 うさこちゃんにも よくわかる ことばでした。」

大人はわかってくれない。子供はわかってあげない。でも時折よく分かる言葉や表情がある。大人と子どもの距離感は、これくらいがいいと思う。

辛いお話だけれども、上記のこともあってうさこちゃんでもお話部分の秀逸さはこれが一番だと思う。Ik begrijp goed(よく分かる)。

 

うさこちゃんは おはかのまえで だいすきな おばあちゃん と よびかけます

 すると、おばあちゃんが ちゃんと きいていてくれるのが わかります。」