18冊目『けっしてそうではありません』
「ねこは日向ぼっこをするために屋根にのぼったのではけっしてありません。ここにいると、ああ自分はねこだと素直におもえるのでここにいるのです。」
君たちの想像していることが(100%)そうではありません、と教えてくれるおはなし。
絵本や物語は基本的に誰かの心情を想像して組み立てていくもの。それが、でも実はそんなこと微塵も考えてないかもよ、と優しく教えてくれる絵本。まず色彩が美しい。片方が絵で片方が文章の単純な構成だけれど文章のほうのページにも彩りがあり、それが空の色や絵の中の命の感情を想起させてくれる。
一番胸に響いたのはかめのページ。
「かめは さびしいとおもっているわけでは けっしてありません。でも誰かがくればいいのに 誰かが通るだけでもいいのにと おもってはいます。」
それってさびしいってことじゃん。でも決してそうではないのです。大きく区切られた世界で小さく存在している亀は、さびしいとは思っていなくて、ただ誰かに触れたいなあと思っているちょっとややこしいやつです。ややこしさから逃げない。
簡単に言葉にするべきではないんだなあ。